日本最初で最後の地上波テレビドラマ

 

30年近い昔の話し。あるテレビ局から、東芝の一社提供で、今では当たり前になっていますが、将来のテレビの双方向を見込んだ番組を企画して欲しいと依頼があり、小生、インタラクティブドラマというのを企画し、提案しました。

インタラクティブドラマとは、起承転結、「起」は、ストーリーはひとつ、「承」はストーリーがふたつ、「転」は4つ、「結」は8つと、話しが進むごとに、ストーリーが枝分かれしていき、そのドラマが進む方向は、視聴者が、電話投票し、票が多い方にドラマが展開していくというものです。(当時は、電話投票でしか視聴者の希望をリアルタイムに知る方法がなかった。)やぐら状にストーリーが展開していく、サスペンスで、「結」で犯人が8通り、違ってくるという、ややこしいドラマ、だからドラマのタイトルが「犯人がいっぱい!」。

その提案が通り、小生が監督でドラマを制作、関西地区ローカルと、後日、系列の東京ローカルで2回、放映しました。

ドラマ中、CM前に、ストーリーの次の進む方向の二つの設定の選択肢を提示、視聴者にCM中、設定の希望を電話投票してもらい、CM明けに、選択肢の票の多い方の設定にストーリーが続くというドラマです。

電話投票で話しがどう進むか分からないので、放映当日は、スタジオを開いて、生放送。ナビゲーターは、関西地区ローカル放映の時は、トミーズ雅さん、大桃美代子さん、東京ローカル放映の時は、宮本亜門さん、大桃美代子さんにお願いしました。

このドラマで一番たいへんだったのが、ドラマの撮る分量の多さ。番組自体は、1時間番組だったんですが、起承転結、用意するVTRが計16本、ロール1本10分として、計160分のVTRを用意しなければならない。納期を逆算して、たった、5日間でこのドラマを撮らなければならない。

クランクインして、途中、間に合わないことが分かり、カメラの台数増やしたり、NHKの大河ドラマの助監督(知り合いのフリーランス、GW中で、大河ドラマの撮影が休みで、急遽、手伝いに来てもらった)を雇ったり、朝早くから、深夜までの撮影が続き、出演者、スタッフ、ヘロヘロ。最終日の撮影(京都)で、ADが出演者の衣装、小道具をロケ車に積んだまま、神戸の自宅に帰り、寝坊して、大遅刻。最終日のロケが午前中、中止。間が悪いことに、その日は、記者発表する日で、朝から、芸能記者が取材に来ている。ドラマ撮影始まらないので、記者さんに事情を説明し、お詫びすることに。小生も、編集の時に、徹夜が続き、寝てしまったり、遅刻したりと失態やらかしました。

このインタラクティブドラマ、脚本は、小生の師匠、漫才作家の大池晶先生(たいへんな脚本なので、お願い出来るのが、心安い、大池先生しかいなかった)、ドラマ主演は、青田典子さん(ドラマ初主演)他、CCガールズのメンバー、笑福亭仁鶴さん、桂雀々さん、太平サブローさん、ティーアップ前田さん、島田珠代さん、急遽、出演お願いした、心安い、ちゃらんぽらん大西君、冨吉君、紅萬子さん、なぜか、AV女優の白石ひとみさんです。

インタラクティブドラマ、関西地区ローカルと、東京ローカル、起承転結、同じコースをたどりました。ですので、放映されたVTR(ロール)がたった4本。放映されなかった、お蔵入りになったVTR(ロール)が12本。一度も放映がなかった役者さんも何人かいらっしゃいました。申し訳ない、すみません。

こんなたいへんなドラマ、それ以来、誰もやろうとはせず、地上波では、日本では、最初で最後です。(レーザーディスクではやったと噂で聞きました)

2023年12月15日