お笑い作家、構成作家、テレビ、ラジオ、イベントのディレクターをやっていると、思いもよらぬ、スピンオフ的な仕事に出会うことがある。
大阪府松原市にある、とある自動車学校で、地元還元のイベントのプロデュースをした時の話し。自動車学校の理事長から、「テレビやイベントの仕事してるんやったら、スタジオ、舞台によくセット立ててるし、街の中の看板立てるのなんか朝飯前とちゃうか。阪神高速道路の松原出口にあるビルの屋上の広告看板の権利買ったんで、自動車学校の案内看板立てようと思うてるんやけど、安い値段でやってくれへんか。」てちょっとゴリ押し気味に頼まれました。すぐに、某テレビ局の美術さんに相談、「街の看板とスタジオセットの看板はちゃうで、スタジオは張りぼてでええし・・・」「そこをなんとか・・・」とお願いし、まず、見積りしてもらうことに。すると、自動車学校に見積り提示すると、なんと、街の看板業者の相場よりもかなり安い値段で出来るらしい。自動車学校も喜んで即発注。それからがたいへん、ドラマの監督はやったことあるけど、看板業者の現場監督は初めて。そのために安全ベルト、安全靴、ヘルメットを購入。ビルの屋上に看板取り付けるのにクレーン車が必要なので、その道路使用許可もとらなあかんし。分からんことがいっぱい。設置工事当日になって、クレーン車の駐車する場所の下が空洞やいうことが分かり、陥没してクレーン車が横転する恐れありということで、急遽、ビルの屋上にイントレで足場を組んで看板設置することに変更。
ああでもない、こうでもない、これ、どうすんねん、やっぱり餅屋は餅屋やで・・・ていいながら、なんとか、取り付けたんやけど、それから、看板、無事やったか一度も確認していない。これがまず、ひとつめの思い出深いスピンオフ。
2つ目は、神戸で、とある企業のPRビデオをアニメで作った時の話。アニメの主役の男女の声優は、松竹芸能の小生と仲のいい、某タレントを雇ったんですが、アテレコ録りの時、声優、ひとり、足りないことが発覚。(小生がアニメの脚本書き、タレント発注も小生なので、完全に小生のうっかりミス)。仕方ないので、小生がアナブースに入り、ひとり足りない声優役を務めたのでした。声優やったの最初で最後。因みに小生は、アニメの中のお芝居を見ている観客の役で、「よっ、千両役者!」とか「よっ、大統領!」とか掛け声かけるセリフ、裏声使ったり、声色使ったり、色々、工夫したのでした。
3つ目は、テレビ大阪での話し。1995年頃から20年以上、年に1,2回ある、特番、「宝くじの抽せん会」
の構成を担当していました。ある年の番組の打合せで、「今回から、スクラッチくじのPRする、「ケズリス」という、ゆるキャラ使うんやけど、中に入る人おらんのやけど・・・」とプロデューサーから話しがありました。普通、こういう時は、ADが選ばれることが多いんですが、ADも本番中は必要やし、本番中、空いてる暇な人いうたら・・・、小生にみんなからの視線が集まりました。確かに構成担当は本番中、暇やけど、一応、本番中は、ゲストのアテンドやゲストと打合せしてるし・・・、でも、着ぐるみ着てても、それぐらい出来るやろという話しで、「ケズリス」に入ることになりました。それから、10年ほど、毎年、構成と「ケズリス」に入るのを務め、ある年から着ぐるみ入るベテラン扱いとなり(これ一応出世・・・?)、個室の楽屋とゲストと同じ弁当をもらえるようになりました。ギャラは、構成料にケズリス料をプラスαしてもらいました。今でも、テレビ大阪では、小生、「ケズリスさん!」って呼ばれています。
以上、思いもせぬ、看板屋、声優、着ぐるみ俳優をやってしまったという、業界スピンオフのお話しでした。